日本語教育Wikipedia

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文字コミュニケーション

 

社会生活を営む人間の間で知覚・感情・思考の伝達が行われる際、意味を持つ符号や記号を媒介とするコミュニケーション¹。テキストコミュニケーション。 ⇔音声コミュニケーション。

 

 

目次

1.起源

2.変化

3.音声コミュニケーションとの比較

 3-1.情報の正確さ

 3-2.気持ちの伝わりにくさ

 3-3.記録性の高さ

 3-4.音声より安心感に関して

4.音声コミュニケーションとの関係

 4-1.伝達のプロセス

 4-2.文字と音声の混合

5.分類

 5-1.文字コミュニケーションの関係図

 5-2.媒体による文字コミュニケーション

 5-3.スタイルによる文字コミュニケーション

6.参考文献

7.出典 脚注

8.関連項目

 

 

1.起源²

文字の起源については人類学、考古学、心理学などの立場から種々の考察があるが、数百万年にわたる人類の歩みの中で、ある時期からシンボル、サインの操作を理解するようになり、その一部が最終的には言語的文字になった。そしてそれらは次に古代オリエント文字とつながった。その古代文字は大多数が絵文字から出た(ピクトグラム)と言われている。要するに、音声コミュニケーションが主な交流手段である古代では、文字が成形されていなくても、例えば、地面に絵を書くのような文字コミュニケーションは既に始まっていると考えられる。

 

 

2.変化

文字コミュニケーションは時間の流れとともに変わっている。最初の、土に絵を書くのような文字コミュニケーション→骨、木材、石や布に絵や記号を掘る文字コミュニケーション→紙媒体の文字コミュニケーション→紙やネット媒体が主流になった文字コミュニケーションの流れとして変化してきた。

現在、インターネットの発展やスマートフォンの普及につれて、従来の書籍、手紙、はがきなどのような手で書くという文字コミュニケーションから、インタネット(SNS)を通して打つという文字コミュニケーションへ変わりつつある。

 

 

3.音声CMとの比較

3-1.情報の正確さ³

文字コミュニケーションが会話よりも優れている点は、情報を正確に伝えることができる。会話では聞き間違えがおきやすい言葉でも、文字にすると伝わりやすくなる場合がある。

 

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                                                                     図1

 

3-2.気持ちの伝わりにくさ

音声コミュニケーションと比べ、顔の表情や声のトーンなどの情報がないため、微妙なニュアンスが伝わりにくく、誤解が生まれることがある。文字でメッセージを伝えるには、誤解を生むようなきっかけを作らぬよう、かなり言葉選びに技術が必要となる。文法的な間違いや、 先述の語調の欠如などが、伝えたい内容の本当の意味を、傷つけてしまうことになるやもしれない。

 

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                                                                     図2

 

3-3.記録性の高さ

メッセージのやり取りの中で、話した内容を記録する必要がある場合には、文字でのやりとりが、音声通話より有利。ウェブ電話や電話での通話を録音することも、もちろん可能だが、文字でのやりとりは、そのやり取りそのものが記録となれる。 関係者ひとりひとりが、この記録を所持することにもなり、あるポイントについての内容を探したいときにも、憶測を気にしなくてよい分、文字の記録をめくる方がより簡単。

 

3-4.音声より安心感に関して

話し手の表情、仕草などを分からない非対面の文字コミュニケーションの場合、文字コミュニケーションは音声コミュニケーションより安心感が低い。

 

 

4.音声コミュニケーションとの関係

 4-1.伝達のプロセス⁴

音声の場合:

【自分】感情 → 言語化 → 発声 → 伝達 → 言語化 → 理解【相手】

文字の場合:

【自分】感情 → 言語化 → 書き起こし → 文章化 → 投稿 → 読む → 言語化 → 理解【相手】

 

4-1.文字と音声の混合

インタネットを通す音声電話かビデオ電話あるいは対面で会話をしながら、音声によって写真、間違いやすい数字や難しい単語だけを文字で伝えるコミュニケーションがよくある。

 

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                                                                    図3

 

 

5.文字の種類

5-1.文字コミュニケーションの関係図

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                                                                     図4

 

狭義の定義では、文字コミュニケーションには絵文字、顔文字、記号、絵などを含まれていない。

 

 

5-2.媒体による文字コミュニケーション

1)PCやスマートフォンにおける「打つ」による文字コミュニケーション

2)本や紙などに印刷されるものによる文字コミュニケーション

3)紙上の手書きによる文字コミュニケーション

4)木、金属に刻まれたものによる文字コミュニケーション

など

 

5-3.スタイルによる文字コミュニケーション

下記の文字のプロトタイプ図から文字コミュニケーションのスタイルを見る。

 

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                                                                     図5

 

 

6.参考文献 

梅棹忠夫ほか(監修)(1989) 『日本語大辞典』(カラー版) 講談社

加藤由樹ほか(2008) 「テキストコミュニケーションにおける受信者の感情面に及ぼす感情特性の影響 -電子メールを用いた実験による検討-」 日本教育工学学会論文誌 31(4),403-414,2008

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/31/4/31_KJ00004964312/_pdf/-char/ja

佐藤喜代治ほか(編)(1996) 『漢字百科大辞典』 明治書院 

中島平三(編)(2014) 『言語の辞典』 朝倉書店

平成27年版情報通信白書』特集テーマ「ICTの過去・現在・未来」

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc122330.html

山本昭(1998) 「専門コミュニケーションにおける言語と非言語 -ターミノロジーの視点から-」 情報知識学会第6回研究報告会議講演論文集(1998.5.23)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsikproc/6/0/6_11/_pdf/-char/ja

 

7.出典 脚注

¹ ウィキペディアの「コミュニケーション」を参考して定義したもの。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

² 中島(2014)を参考して編集したもの。

³ 保護者・教職員向け啓発資料(12)を引用したもの。

https://webreport.pit-crew.co.jp/fukuoka_city_netpatrol/img/r27.pdf#search=%27%E6%96%87%E5%AD%97%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%27

⁴ ブログ「ぐるりみち」を引用したもの。

  https://blog.gururimichi.com/entry/2014/09/10/223532

 

 

8.関連項目

言語

文字

非言語表現

コミュニケーション

音声コミュニケーション

メディアコミュニケーション

マスコミコミュニケーション

テキストコミュニケーション

非言語コミュニケーション

マルチモーダルコミュニケーション

 

 

〈作成者:みお〉