オノマトペ
オノマトペ〔フランス語onomatopée、英語onomatopoeia〕は、擬音語・擬態語を意味する外来語である。
目次
1.オノマトペの分類
擬音語・擬態語はそれぞれ、外界の音を写した言葉である「擬声語、擬音語」と、音をたてないものを音によって象徴的に表す言葉である「擬態語、擬情語、擬容語」に分けられる(図1)。オノマトペを、擬音語(擬声語と擬音語)と擬態語(擬情語と非擬情語)に分ける立場もある(図2)。
図1 金田一(1978)1)による分類
図2 筧・田守(1993)2)による分類
2.オノマトペの定義
小型国語辞典での定義は、〔擬声語・擬音語・擬態語〕、〔擬声語・擬態語〕、〔擬声語〕、または〔擬音語〕と揺れている(図3)。また、擬音語・擬態語の総称として「擬聲語(擬声語)」3)を使用する研究もあり、この場合は、擬聲語とオノマトペが同義となる。
|
定義 |
所載の辞典 |
出版社(発行年) |
1 |
擬声(ぎせい)語・擬音語・擬態語。フランスonomatopée |
例解新国語辞典 第七版 |
三省堂(2007) |
2 |
〈フonomatopée〉 擬声語・擬態語 |
新選国語辞典 第六版 |
小学館(1987) |
3 |
(フランスonomatopée)擬声語および擬態語 |
現代国語例解辞典 第五版 |
小学館(2016) |
4 |
集英社 国語辞典 第二版 |
集英社(2000) |
|
5 |
〔フonomatopée〕 擬声(ギセイ)語。擬音(ギオン)語 |
三省堂国語辞典 第六版 |
三省堂(2008) |
6 |
擬声語と擬音語。フランスonomatopée |
学研現代新国語辞典 改訂第六版 |
学研プラス(2017) |
7 |
フ onomatopée 擬声語 |
現代国語表記辞典 第二版 |
三省堂(1992) |
8 |
【onomatopéeフランス】擬音語に同じ。オノマトペア。 |
広辞苑第七版 |
岩波書店(2018) |
図3 小型国語辞典におけるオノマトペの定義
3.オノマトペの英訳と類義語
オノマトペは、「擬音語・擬態語の総称」として用いられることが多いが、「擬音語」または「擬声語」と定義づける国語辞典もある(図3)。これは、フランス語のonomatopée、英語のonomatopoeiaが音に関する語として、生物や事物から生じる声や音を表す擬声語、または擬音語に直訳されるためである。英語では模倣、擬態を表すmimicを用いて、日本語の擬態語にあたる語を”mimic words, mimetic words”という。
狭義のオノマトペはonomatopoeiaと対応し、オノマトピア、オノマトペアとも呼ばれるが、広義のオノマトペは、擬音語・擬態語と対応し、英語では”onomatopoeia and mimic words”と訳される(図4)。さらに擬音語・擬声語・擬態語・写生詞・オノマトペ(onomatopoeia)などと呼ばれる語類の総称として「音象徴語」を用いる場合もある4)。
以上のように、擬音語、擬態語などの語が意味する範囲には揺れがあり、その揺れはオノマトペが意味する範囲の揺れに反映されている。
図4 オノマトペの狭義と広義の類義語
関連語
オノマトピア、オノマトペア、onomatopoeia、onomatopée、擬声語、擬音語、擬態語、擬情語、擬容語、音象徴語
参考文献
1)筧壽雄・田守育啓(1993)『オノマトピア 擬音・擬態語の楽園』勁草書房,東京
2)浅野鶴子・金田一晴彦(1978)『擬音語・擬態語辞典』角川書店,東京
4)日本語教育学会(2005)『新版日本語教育事典』大修館書店,東京
〈作成者:N.F.〉